外国人配偶者が出産後に実家へ帰国。ビザはどうなる?

2025年10月29日 17:55

1.出産後の「一時帰国」はよくあること

外国人配偶者が日本で出産したあと、里帰り出産や家族のサポートを受けるために、一時的に母国へ帰国するケースは珍しくありません。しかし、この一時帰国、実は在留資格(ビザ)に大きく影響する可能性があることをご存じでしょうか?滞在期間を誤ると、日本での在留資格が消滅してしまうこともあります。

2.3か月以上日本を離れると「在留資格が消える」可能性

日本の入管制度では、在留資格を持つ外国人が日本を離れて3か月以上滞在しない場合、日本に生活の本拠を置いていないと判断され、在留資格が取り消される場合があります。つまり、産後の里帰りで長く母国にいたら、ビザが消えていたというケースが、実際に発生しています。

3.出国前に必ず行うべき「みなし再入国許可」

外国人が日本を出国する際、空港で「みなし再入国許可(Special Re-entry Permit)」を申告すると、最長1年間はビザを維持したまま出国できます。

✅ 出国時のチェックポイント

・出国審査で「再入国出国ですか?」と聞かれたら「はい」と答える
・パスポートに「みなし再入国許可による出国」のスタンプを押してもらう
・1年以内に必ず日本に戻る

ただし、1年を超えて帰国してしまうと自動的にビザが失効します。(出産後に子育てが長引き、つい帰国が遅れるケースがよくあります)

4.配偶者ビザの更新時に問題になることも

たとえ1年以内に戻ってきたとしても、次回の配偶者ビザ更新で「日本での生活実態が希薄」と判断されることがあります。特に次のような場合は注意が必要です。

・日本人配偶者が日本に残り、別々に暮らしていた期間が長い
・日本での住所が解約されている(賃貸退去など)
・生活費の送金や連絡の記録がない

このような場合、更新審査で夫婦関係の実体が疑われ、更新不許可になるリスクがあります。

5.安心のために準備しておきたい証拠書類

出産や育児を理由とする一時帰国は、正当な理由として十分説明可能です。ただし、審査官が納得できる客観的資料を揃えておくことが大切です。

提出をおすすめする書類例

・母国の医療機関・出産証明書
・日本人配偶者との連絡記録(LINE・通話履歴など)
・日本人配偶者からの生活費送金記録
・日本帰国後の住居契約書・公共料金支払い証明

これらをセットで提出すれば、「一時帰国中も夫婦関係は継続していた」と説明できます。

一時帰国の前に行政書士へ相談を

出産後の一時帰国は自然なことですが、「みなし再入国許可」や「在留資格取消リスク」を知らずに行動すると、せっかくの在留資格を失ってしまう可能性があります。出国前・更新前には、必ず専門家に確認し、必要な書類・スケジュールを整えておくことが重要です。

【免責事項】

この記事は、外国人配偶者の出産後の一時帰国における在留資格(ビザ)に関する一般的な情報提供と注意喚起を目的として作成されています。個別の状況(在留期間、ビザの種類、出国期間、夫婦関係の実態など)によっては、取り扱いが大きく異なります。また、日本の入管法や制度は、法改正や運用変更により変わる可能性があります。

そのため、必ずご自身の状況を専門家(行政書士や弁護士)にご相談いただくか、最寄りの出入国在留管理局にてご確認ください。本記事の内容を利用したことにより生じた、いかなる損害や不利益について、当方は一切の責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。

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