国際結婚をしたカップルにとって、日本で一緒に暮らすために欠かせないのが日本人の配偶者等という在留資格、通称「配偶者ビザ」の申請です。
手続きを準備する中で、「私たちの交際期間が短いけど大丈夫だろうか?」「何年付き合っていれば有利になる?」といった不安を抱く方は非常に多いです。しかし、配偶者ビザの審査において、交際期間の長さは決定的な要素ではありません。入管が本当に重視しているのは、偽装結婚を防ぐための結婚の信憑性と、日本で生活していくための生計の安定性です。
今回は、申請前に確認すべき、交際期間よりもはるかに重要な2つのポイントについて、行政書士が解説します。
入管が最も警戒しているのは、ビザ取得だけを目的とした偽装結婚です。そのため、申請ではこの結婚は本当に愛と信頼に基づいているのか?という結婚の真実性(信憑性)が徹底的に問われます。交際期間が長くても、それを裏付ける証拠が曖昧であれば、結婚の真実性が低いと判断されるリスクがあります。逆に、交際期間が短くても、質の高い証拠があれば問題ありません。
単なるツーショット写真だけでは不十分です。入管は第三者から見ても、二人の関係が本物だとわかる客観的な資料を求めています。例えば、継続的なコミュニケーションと愛情の証拠となるSNSのメッセージ履歴、遠距離恋愛や海外での交際時における経済的な支え合いを示す国際送金記録は重要です。さらに、お互いの家族と面会した際の写真ややり取りといった家族・親族との交流の記録は、結婚が周囲から公認されている証拠となります。
これらの資料を裏付けるのが、二人の出会い、交際期間の出来事、結婚に至った理由を、時系列で詳細かつ具体的に記した「婚姻までの経緯書(陳述書)」です。これらの資料が、出会いから結婚、そして申請時点までのストーリーとして矛盾なく繋がっていることが、結婚の真実性を証明する鍵となります。
結婚の真実性が認められたとしても、申請人が日本で生活していける経済的な基盤がなければ、ビザは許可されません。配偶者ビザは夫婦が協力して安定した生活を送るためのビザです。特に、外国人配偶者が日本に来てすぐ働くことが難しい場合、日本人配偶者の経済力が審査の焦点となります。
安定性を証明するためには、主に収入の安定性と同居の確実性の二つが重要です。まず、収入の安定性(年収)として、日本人配偶者(または世帯全体)の収入が、夫婦二人が生活できる水準にあるかを、直近の課税証明書などで確認されます。極端に年収が低い、または転職したばかりで収入が不安定な場合は、ビザが不許可となるリスクが高まります。
次に、同居の確実性(住居)も安定した生活の根拠です。一緒に住むという事実と、家賃の支払い能力を証明するため、賃貸借契約書や不動産の登記簿謄本なども重要な資料となります。もし、日本人配偶者が無職、または収入が極めて不安定な場合は、不許可を避けるためにどのように生計を立てるかという具体的な計画を、客観的な証拠(貯金残高証明書など)とともに提出する必要があります。
配偶者ビザの審査では、交際期間の長さといった表面的な要素よりも、結婚の中身の濃さと経済的な裏付けという本質的な要素が重視されます。もし、あなたが「交際期間が短いから不安だ」「収入が不安定だから心配だ」といった不安を抱えているなら、そのまま申請に踏み切るのは危険です。不許可になると、再申請には時間と労力、そして精神的な負担が大きくのしかかります。
結婚の真実性を証明する立証資料の準備や生計安定性の計画でお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。
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